ヘルペスは、一般的には性器ヘルペスや口唇ヘルペスのイメージがありますが、水痘や帯状疱疹、カポジ水痘様発疹症、伝染性単核症、肺炎、網膜炎、突発性発疹、脳炎、カポジ肉腫など数多くの感染症を引き起こします。
水痘や帯状疱疹は、人間に感染する8種類のヘルペスウイルスの1つとされる水痘・帯状疱疹ウイルスに感染する事で発症する事からヘルペス治療に用いられる抗ウイルス薬が効果的に作用するとされています。

ヘルペスの治療には、ウイルスの増殖を抑制し死滅させる作用を有するDNAポリメラーゼ阻害薬やDNA合成阻害薬、細胞壁合成阻害、代謝拮抗阻害、タンパク質合成阻害薬などの抗ウイルス薬が用いられています。
感染者数の多い性器ヘルペスや口唇ヘルペスの治療には、DNAポリメラーゼ阻害効果とDNA合成阻害効果の両方を有するマクロライド系の抗ウイルス薬バラシクロビルやアシクロビル、ファムシクロビルが用いられ、マクロライド系の抗ウイルス薬は安全性の高さから絶対過敏期を避けた妊娠初期にも投与可能です。

DNA合成阻害薬は、宿主とウイルス由来の酵素チミジンキナーゼの効果により、ウイルスのDNAを構成する核酸の1つデオキシグアノシン3リン酸と分子構造が類似しているアシクロビル3リン酸にリン酸化され、デオキシグアノシン3リン酸と置換される事でウイルスのDNAの複製を阻害しウイルスの増殖を抑制する効果を発揮します。
アシクロビルは、ファムシクロビルよりも効果的にDNA合成を阻害するとされています。

DNAポリメラーゼ阻害薬は、ウイルスの増殖時のDNA複製や、潜伏感染し休眠状態にあるウイルスの再活性化に関与しているDNAポリメラーゼに直接作用し阻害する事でDNA増殖を効果的に抑制する効果を発揮します。
DNAポリメラーゼ薬は、休眠状態のウイルスの再活性化にも関与している事からウイルスの再活性化を抑制する再発抑制治療にも用いられています。
再発抑制治療には、アシクロビルにバリンを結合させ感染患部への移行性を高めたバラシクロビルが用いられています。

水痘・帯状疱疹は、バラシクロビルやアシクロビルなどの抗ウイルス薬を投与しますが、服用期間は1週間~10日程度と比較的短期の服用期間で症状が鎮静化します。
帯状疱疹は、発症後水泡や膿疱が破れ瘡蓋となり2週間程度で自然治癒しますが、帯状疱疹後神経痛や難聴、顔面神経麻痺、味覚障害などの後遺症が残る事もあるので速やかに治療を開始する必要があります。

水痘に掛からないためには予防接種がおすすめ

水痘は、子供が罹患するウイルス性の感染症のイメージがありますが、妊娠中に発症すると発育障害や神経異常などの重篤な後遺症が胎児に発症する先天性水痘症候群や胎児の帯状疱疹などの発症リスクが高くなるので、水痘を軽く考えずしっかりと予防する必要があります。

水痘は、弱毒生水水痘ウイルスを増殖培養及び精製後凍結乾燥させた予防ワクチンを1回接種する事で、90%以上の確率で抗体陽転かつ細胞性免疫力を上昇させる効果があり、2回の予防接種でほぼ感染を予防する事ができ万が一発症した場合にも重症化を防ぎ、子供の嫌がる薬の服用期間も短縮する効果があります。
予防接種は、平成26年10月以降1歳の誕生日の前日~3歳の誕生日の前日までの乳幼児に対して無料定期接種が行われています。

水痘は、飛沫感染や接触感染、空気感染により感染後リンパ節でウイルスが急激に増殖し、全身に拡散後主要な臓器で更に増殖し発症するとされ、皮膚の知覚神経から三叉神経節や脊髄後根神経節にウイルスが潜伏感染します。
潜伏感染したウイルスは、予防接種していても何らかの理由により著しく免疫力が低下すると再発する可能性があるので、水痘の予防には免疫力を上げる日常生活を心掛ける必要もあります。